読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

誰も教えてくれない諸手突きの極意 梅ヶ谷翔・栄花直輝・林邦夫の「突き」の共通点とは?

どうでもよい事かもしれませんが、これからの記事は、「〜です、〜ます」調ではなく、「〜だ、である」調にします。そっちの方が書きやすいので。

 

以前、「諸手突きの理論」を書きました。まだ読んでない人はそれを先に読まないと効果が半減するので、先に読んで下さい。↓

 

kendo.hatenablog.com

 

で、今回は具体的に「諸手突きの突き方」について解説していきます。

 

 

「突き」について指導を受けるとき、どのような助言をもらうだろうか。「腰で突け」とか「まっすぐ突け」とか、いまいち具体性に欠けるアドバイスが多いのではないだろうか。私自身「突き技」を得意技にしていた。しかし、それは教えてもらったものではなく、自分自身で突き方を考え、身に付けた「突き」である。そして、youtubeでトップ選手の突きの動画を見ていると、私が常に意識していた突きと同じであることに気付いた。多くの指導者が教えてくれない突きの極意を伝えることが出来ると思っている。

まず最初に、突きの動画を見ていただきたい。

www.youtube.com

梅ヶ谷翔選手 0:40〜

 

www.youtube.com

英花直輝選手 1:00〜

 

www.youtube.com

林邦夫八段 初太刀

 

これらは全て「表からの諸手突き」が一本になっている(梅ヶ谷選手の突きは「裏から」に見えるが、おそらく、相手がコテを打とうとしたのでたまたま「裏から」の形になったと思われる)。これらの共通点を探って欲しい。突きが決まるまでの瞬間的な流れに共通点がある。それは何か。

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このように突きが決まるまでの流れを写真にすると分かりやすいが、「表からの諸手突き」の場合、【構える⇒剣先を下げる⇒突く】という流れになっている。おそらく、突きを教わるとき、「打つ前に剣先を下げなさい」とは教わらないのではないだろうか。しかし、「表から」一本になっている突きは大半が「剣先を下げてからの突き」なのだ。私は高校時代からこの事実を理解し、一本にしていた。

これにはどのような理論が存在するのだろうか。大前提として理解してほしいのは、「表からの諸手突き」という技は相手の居着いたところを突く技である。つまり、相手が「来ないだろう」と油断しているときに放つべき技なのだ。もっと細かく言えば、相手が「最低でも上には(メンか突きには)来ないだろう」と感じているタイミングで放つべき技だ。「剣先を下げた」ときの相手の心理状態はどうだろう。おそらく相手は僅かな時間ではあるが、「?」と感じているはずだ。「?」とは「こいつ何してる?」「こいつ攻めてる?」「こいつ何か狙ってる?コテか?」「こいつ打つつもり?打たない?」というような迷いである。そして、次の一瞬には喉元に竹刀が突き刺さっているのだ。加えて、「剣先を下げる」効果として、「竹刀の軌道を読まれにくい」というのがある。これもイメージしてみたら簡単に理解できると思うのだが、「剣先を下げず、相手の剣先と触れたような状態からそのまま突き」という軌道であれば、相手の竹刀を簡単に払う事ができる。むしろ、突きを払ってメンをお見舞いするのも簡単だ。しかし、「剣先を下げたところから放つ突き」はなかなか払えない。軌道が読みにくいのである。また、突きの威力に関しても、「下げる」動作を入れることで反動をつけることができ、威力が増す。このように、一瞬「剣先を下げる」だけでこれだけ絶大な効果をもたらし、「表からの諸手突き」は脅威の技となるのである。

 

なお、「裏からの諸手突き」は「表から」とは全くの別物である。プロセスとしては、【構える⇒表を攻める⇒裏を突く】といった流れになる。これはコテの理論と非常によく似ている。この「表を攻める」というところが難しいのであるが、基本的には「少し間合いを詰める(近間に入る)」「表から少し竹刀を抑える」という攻めが有効だろう。つまり、その瞬間に相手は「来る?」と危険を感じて、竹刀を押し返そうしたりコテに応じようとしたりする。その瞬間に「裏」が一瞬空くので、裏からドゴーンと突くのである。この技を出す際は、試合の中で、攻めたときに相手がどういう反応をするのかを探っておく必要がある。特に竹刀を押し返そうとするタイプには効果的だ。しかし、これはなかなか難度が高いので、十分に反復練習しないと試合で使うのは難しい。慣れるまではコテ打ちで代用するのが良い。しかし、この「裏からの突き」まで使えるようになると、相手の中心をいとも簡単に割ることが出来る。バリバリ中心を張ってくるタイプにはコテよりも伸びる「裏からの突き」が最も有効なのだ。

www.youtube.com

学生東西対抗 1:00〜 愛知学院大 加藤選手の「裏からの突き」

 

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構えあって、

 

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ほんの少し間合いを詰める(これが「攻め」となる)

 

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相手は竹刀を押し返そうとしている

 

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裏からの突きが決まる

 

ちなみに、突きは外れた場合のリスクが大きいので、反復練習を繰り返し、確度を高めてから試合で使うようにしたほうが良い。早く上達するためには、地稽古でガンガン突くこと。また、外した際、確実に防御できるように普段の稽古から練習すること。元立は突きが外れたら後打ちの面を打ち、突いた側は後打ちのメンをよける、という約束事を決めて練習すると良いだろう。