読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

九州学院を分析する③ 九学の技

現在、剣道最強の高校・九州学院。今回は彼らが多用する技について解説する。インターハイ3連覇等、歴代最高の黄金期へと突入している彼ら。何か他校を出し抜くための裏ワザのようなものを駆使しているのか。

 

まずは彼らの一本集の動画があったので見てほしい。↓

www.youtube.com

 何か九学のみにしか無い魔法のような技がなければここまでの成績は残せないと見るのが妥当なところだ。しかし、残念?なことに彼らは魔法のような技は何も使っていない。私が高校生だった頃も現在も、彼らの使う技は正直、「普通」である。普通の技を練りに練ったのが九学の技だ。

特に素晴らしく訓練されている技が、「飛び込みメン」である。上の動画でも多くの飛び込みメンを炸裂させている。「左足を継がない」という基本中の基本が先鋒から大将まで徹底されており、「左足を継がない」ことにより技の起こりが見えづらく、上半身を前傾させることでよく伸び、遠間からでも打てる。

 

上の動画から抜粋して、解説する。(1:00〜)梶谷選手の飛び込みメン↓

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左足に注目

 

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左足の位置はそのまま(継がず)、飛び込みメン発動

 

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炸裂

 

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上半身は相手に預けるように前傾。かなり伸びる。そしてこの場面、相手は抜きドウを打とうとしたが、完全にメンの方が速い。左足を継がないから、技の起こりが見えず、抜きドウや出ゴテが間に合わないのだ。梶谷選手は上の動画のこの場面の一つ前にも同じような飛び込みメンを決めており、それも同じように相手は出ゴテに反応しているが間に合っていない。しかも、梶谷選手はかなり小柄な選手だ。それでも「左足を継がない」から、飛び込みメンをこれほど鮮やかに決めることができるのである。

 

なお、この基本については以前、「西村英久選手の飛び込み面」の記事で詳しく解説しているのでぜひ読んでもらいたい。↓

kendo.hatenablog.com

 

次に、「コテ打ち」について。基本的にコテ技というのは攻めて、「相手の手元を上げさせて、打つ」というのが基本である。彼らは相手の手元を上げさせるために、「スッと一歩入る」「コテ・コテの連続打ち(1本目のコテで近間に入り、手元を上げさせせ、2本目のコテで仕留める:内村良一選手も多用する技)」「近間に入り、防御の体勢からコテ(全日本選手権等でもよく見られる技)」などの工夫をこらしているので、動画を参考にしてほしい。今回はその中から「近間に入り、防御の体勢からコテ」(上の動画1:17〜の場面)を紹介する。↓

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一足一刀の間合いから

 

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間合いを少しずつ詰める

 

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近間に入ったら、一度防御の体勢をとる。相手はこのとき、攻めるか守るか中途半端になり、えてして手元が浮きやすい

 

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相手の手元が浮いたところへコテ炸裂

 

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コテ打ち直後。絶対に後打ちを食らわないよう、上体を相手に預けるのが九学式。(普通の基本とは異なるのだが、後打ちを避けるという意味で言えば非常に合理的。)

 

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「コテ!コテ!コテ!」と審判にアピールし、少しでも旗が上がる確率を上げるのも九学式。また、体は一瞬で相手にくっ付き、後打ちを許さないのも九学式。

 

このように、「普通の技」を「脅威」になるまで磨き上げるのが九州学院だ。上達のためには彼らのように基本を上達させるしかないのである。剣道の基本とは非常に難しいもので、なかなか分かりやすく説明してくれる人もいないと思う。このブログでは剣道の基本や使える技を今後も紹介していくので、定期的にチェックしてもらいたい。