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この「梅ケ谷引きメン」打てる?

前回、「試合で使える」竹ノ内選手の引きメンについて記事を書いた。今回は前回の引きメンに少し工夫を加えるだけで、別の状況でも使える引きメンを紹介したいと思う。

 

前回の記事ありきで解説するので、まだ前回の記事を読んでない人は先に読んで欲しい。↓

kendo.hatenablog.com

 

さて、前回の記事で紹介した竹ノ内選手の引きメン、決まった瞬間の写真がこちら。↓

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この竹ノ内選手の左肘(ひじ)に注目してほしい。正面からなので少し見えにくいが、左肘が曲がった状態なのが分かるだろうか。

 

もっと分かりやすい動画を探していたら、梅ヶ谷選手が例の玉竜旗の動画の一番最初に決めた引きメンがこれであった。↓

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左肘を深く折りたたむように打っている。左拳はアゴの位置あたり。左手をグイッとアゴのあたりまで引くことでテコの原理のように打つ。

www.youtube.com

0:10〜の引きメン

 

あなたが打つ引き面の場合はどうだろう。相手の面をとらえた瞬間を想像してほしい。おそらく右肘は伸びきった状態、左肘もほとんど伸びきっていてほんの少しだけ曲がった状態ではないだろうか。トップ選手は引きメンのこの瞬間の肘の曲げ具合を自由にコントロールできる。つまり、伸ばした状態で打つこともできるし、かなり曲げた状態で打つことも出来る。特に梅ヶ谷選手の写真を見てほしい。左肘を折りたたむように打っているのが分かるだろう。

それに何のメリットがあるか分かるだろうか。簡単に結論を説明するのではなく、まずは読んでいる人が自分なりに考えて欲しいのだが・・・。

答えは、「接近した状態から打てる」ということ。鍔競り合いの中でも相手との距離というのはコロコロ変わる。通常の鍔迫り合いの距離・密接にくっついているときの距離・ある程度離れた距離

考えてみると割と簡単に分かると思うのだが、普通の人の引き技というのは鍔迫り合いの中でも「ある程度離れた距離」に打つ引き技しかない。それは次の3パターンだ。1.鍔迫り合いから別れるときに打つ引き技 2.フェイントによって相手との距離をあけて打つ引き技 3.相手の体を押す、または崩して打つ引き技。この3つのみだ。つまり、このような相手の場合、鍔迫り合いではしっかりくっついていればその状態からいきなりドンと打たれることはない。

鍔迫り合いの上手な人は相手との距離が近くても引き技が打てる。相手と密接した距離から一瞬でスコーンと引きメンを打つ場合には梅ヶ谷選手のように肘を折りたたんで打つ。伸ばした状態であれば打突が深くなりすぎるからだ。

これ、試合ではかなり使える引きメンとなる。なぜなら、鍔迫り合いというのは「この距離なら大丈夫」「もうちょっと離れたら危険」という距離感の駆け引きであるからだ。あなたがこの引きメンを打てれば、相手は「この距離なら大丈夫」と思って安心しているところにいきなりドン!と引きメンをぶちかますことができるのである。

なお、この引きメンを練習する前に、前回記事で書いた「振りかぶらない引きメン」が打てるように練習すること。前回の「振りかぶらない引きメン」で書いたが、手首のスナップを使わず(使い、の間違いではなく、使わず!)、左拳をアゴぐらいまで一瞬で引く(近づける)ことで「テコの原理」のように打つ(梅ヶ谷選手の左拳もアゴあたりにきている)。前回の引きメンを習得するまでの難度は高いが、それが打てるようになれば今回の引きメンの習得は比較的楽だと思う。あとは肘を曲げた状態で打てるかどうか。右肘も曲げて打てれば更に近いところから打てるようになる。修練あるのみ。

ちなみに私が高校生だった頃から福大大濠高校の選手はこの引きメンを多用していた。あとは阿蘇高校。高校生になって、こんな技があるのかと驚いたものだ。おそらく2000年代前半ぐらいから流行り出した、わりと新しい技だと思う。