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打突の体勢。前傾はダメだという間違い。西村英久・高鍋進・宮崎正裕選手の静止画から研究

今回は打突時の姿勢について解説したい。

「前傾するな」「腰から打て」。多くの剣士がそう指導を受けると思う。果たしてこれは正解か。この指導、「意識の上では」という点では正解、「実際の動き」という点では不正解ということになる。

 

これはどういうことか。名選手の飛び込み面時の瞬間を静止画で切り抜いてみた。それらを見てほしい。↓

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西村英久選手。2015年全日本剣道選手権決勝の1本目の面

 

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西村選手、同試合2本目の面

 

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高鍋進選手の面

 

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同じく高鍋進選手の面

 

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宮崎正裕選手の面

 

これらの動画には分かりやすく赤線を引いた。この赤線は各選手の打突時の肩・腰・左膝を結んだものである。これらの赤線を見てもらうと分かるように、かれらの打突時の姿勢は全て前傾姿勢である。日本を代表する選手たちが前傾姿勢の打突をしているのだから「前傾=ダメ」は誤りだ。

しかし、彼らの打突時の姿勢にはもう一つ重要なポイントが存在する。赤線を見たらすぐ分かったかもしれないが、全て「弓なり」になっているのだ。これは何を意味するのか。まず左足に関して。上の静止画を見てほしいが、左足は「踏み切り」の足であるから打突の際は体の後方にポンと跳ねたようになる。言わば陸上100m走のスタート一歩目のような状態になる。では上体はどうか。上体は下半身に比べたらそこまで角度が深くないことが分かる。前傾しているのは間違いないのだが、ものすごく深く前傾するわけではない。なので、指導者が「意識の上では」前傾するな、腰から打て、と言うのは誤りではないと思う。指導者なら本来はここまで細かく教えるべきだと思うのだが・・・。

剣道の打突はかなり複雑なもので、下半身の力を竹刀の先端まで伝えなければならない。しかもそれを高速に力強く。その練習を何万回も繰り返し、ベストの体勢にたどり着いたのが上の3選手の飛び込み面だと思う。剣道の上達を目指す者は、この「弓なり」の姿勢を意識して練習すると良いだろう。

なお、この「弓なり」が「逆の弓なり」になったら最悪で、いわゆる「へっぴり腰」の下半身の力を剣先まで伝えきれない打ち方である。自分の試合の動画などを見て、研究してほしい。筋力もある程度必要となるので、小学生や中学生、女性など筋力不足の方はなかなか難しいと思うが、下半身・体幹の筋力アップの筋トレもしっかり行い、この姿勢を実現できるよう練習してほしい。