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大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

剣道の上下関係の弊害。本当に強い学校は上下関係が薄い

皆さんは日本式の人付き合いにおける上下関係をどう感じているだろうか。特にスポーツの世界は上下関係が厳しく、私自身もそういう環境の中で生きてきた。

 

具体的に、私は次のような上下関係を経験した。

先輩に対しては常に敬語なのはもちろん、完全にこちらがへりくだった対応をする。もし何かしら、雑用などの面で注意されたら、絶対に言い訳はせず、こちらが悪いことを100%認めて、絶対に先輩の機嫌を損ねないようにする。「パシリ」なども嫌な顔ひとつせず、先輩が気持ちいいように動く。先輩や先生の剣道着・袴などの洗濯、それらを綺麗に折りたたんで提出。遠征や試合の際は先生や先輩の防具一式の準備とパッキング。OBの先輩や一般の方が出稽古に来たら、姿が見えた瞬間に彼らが持っている防具と竹刀を取りに走り、防具入れから防具を出し道場に並べ、稽古が終わったら防具や剣道着の後片付けとパッキング。先生に対してはもちろん100%服従で、私生活でも剣道面でも言われたことをしっかり守る(私は守らなかったが 笑)。私生活では抑圧の嵐で、服装・髪型(坊主でも伸びてたら叱責)・時間・授業態度・他の先生との関係に至るまでとにかく監視されてきた。剣道面でも朝練と夜練で体はヘトヘトで週末は常に練習試合。不甲斐ない試合をしたら先生にビンタされ、口から血が出る。よくもこんな生活に耐えきれたと思う。剣道の強豪校での生活は、何かお寺でのお坊さんの修行のようなものなのである。

このような上下関係を通して私は何を学んだのか。まず、上の人には絶対に逆らわず、常に謙虚な姿勢を持ち続ける癖がついた。この癖は絶対に抜けない。あと、言い訳をしない癖もついた。これはスポーツを本格的にしてきた人としてきてない人では全然違う。私などは上司から何かしら注意を受けたとき、こちらに非がなくても「申し訳ございません。」とすぐに謝ってしまう。その後に弁解なども一切しない。非スポーツ人は、口を開いた瞬間に「でも〜」である。笑 

では結局、上下関係はメリットとデメリットどちらが大きいのだろう。正直なところ、私はデメリットの方が大きいと思う。

まずは競技面において、上下関係はほぼデメリットしかない。要するに後輩は先輩に対して遠慮してしまうのだ。実力があるのに先輩に遠慮して、部内の試合で力を出さず、レギュラーになれていない1年生・2年生のなんと多いことか。ひどい学校では先輩に対しての「突き」が禁止の学校もある(結構多い)。というより剣道界には上の人には「突き」は控えめに、という風潮がある。それで突きが上達するのだろうか。おかしな世界だ。あと、先生も押し付けの指導をし過ぎだと思う。試合が終わるたびに先生のアドバイスを受ける習慣、止めないのだろうか。自分で考えてやらないと面白くもないし、長いスパンで見たら自分で考える選手が伸びるのが剣道だ。技術の向上意欲も削いでしまうのが剣道界の上下関係なのだ。

次に人間関係において。私などは特に周りから嫌われるタイプではないと思うのだが(そうであってくれ!)、やはり今でも上司に対して馴れ馴れしく会話をするのに億劫だ。1年ぐらい上司の人間性を見極めないとなかなか心を開けない(特にお酒を呑まない上司は!)。仕事の世界ではコミュニケーションこそ全てであり、もっとスピーディーに人間関係を構築できれば、とつくづく思う。また、「言い訳」の技術も社会人には必須の能力だ。口が上手い人は本当に自分のミスを口で挽回し、ミスを無かったものにできる(本当に、本当に羨ましく思う)。私の場合は「すみませんでした」で終わりだ。笑 私は「言い訳禁止」の世界で生きてきたので、そういう能力を身に付けることができなかったようだ。

結論として、部活での厳しい上下関係は必要ない。厳しい上下関係がなくても日本で生活する以上、最低限の上下関係は身に付く。しかもそれが濃密な部活動の世界であれば十分すぎるほどだ。なお、現在最強の九州学院はそれほど上下関係はきつくない。米田監督が上下関係を嫌っているようだ。それでも彼らは十分に上下関係を心得ているし、何よりも結果を残している。私の分析によれば、全国大会で入賞するがなかなか優勝するまでには至らない学校みたいなところが一番上下関係が厳しい。笑 九州学院のような本物の一流校レベルになれば、上下関係が剣道向上の阻害になることを理解しているのだ。もし、この記事を読んでいる人が進学先や道場を選ぶ状況にあるならば、「上下関係がゆるい」ところを一つの判断材料にすればよいだろう。