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大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

剣道とガッツポーズ。「スポーツ」と同じ土俵での議論は止めよう

前回、剣道界の上下関係という剣道の負の側面について書いたので、今回は剣道の素晴らしいところについて述べたい。テーマは「ガッツポーズ」。

 

剣道の試合で一本取ったときに、いわゆる「ガッツポーズ」をしたら、その一本は取り消しになる。剣道をしたことがない人がこれについて、「ネタ的に」「雑学的」に話をしているのを聞いたことがある。また、「剣道ってガッツポーズ禁止なんだよね!?」と、「オレ、物知りだろ感」満載で話されたことが何度もある。

本来は、剣道人はこのような低次元な議論に耳を貸すべきではないと思うのだが、剣道をしたことがない人にとっては、それが何とも不思議な事に感じられるようだ。剣道家はその作法について、理屈でしっかりと説明できるようにしておくことが重要だと私は思う。そうでなければ、剣道をしたことがない人たちはこの話をネタのように扱う。

第一に、「スポーツ」と「武道」の違いと言うべきものなのかもしれないが、そもそもの歴史の長さが違う。スポーツはほとんどの競技が100年そこらの歴史しか持ってないと思う。武道は日本の封建制度時代から洗練され続けてきたものであるから、約1000年の歴史を持つ。圧倒的に長い期間、ルールや作法が洗練されてきたのだ。

武道は多くが「殺し合い」の中から生まれたものだ。剣道はその最たるもので、「負け=死」から発展してきた武道だ。数百年前など遠い昔の時代は、今とは比べ物にならないほど人々は信心深かったであろう。死者に対して深い敬意を表すことで自分の人生を良い物にし、神仏に守ってもらうという感覚を人々が強く持っていたことは想像に難くない。だから、例え戦場の「殺し合い」の中で相手に勝った(殺した)としても、相手に最大限の敬意を表すのが習慣であったはずだ。

そのような歴史を踏まえた上で考えたら、一本取った後にガッツポーズなど、言語道断である。一本取っても相手への礼節を重んじ、感情を一つも外へ出さない。これこそ日本が誇る武士道精神ではないか。

実はスポーツにおいても同じような礼節が見られる例もある。野球の大リーグだ。バッターはホームランを打ったとき、派手にガッツポーズするのは不文律で禁止されている。ピッチャーも三振を奪ったときなど、相手に向かって雄叫びを上げたりするのもマナー違反。あとは、大差がついた場面での盗塁禁止など、多くのマナーが存在する。いずれも「相手の心情を理解せよ」という紳士的なマナーだと思う。素晴らしい文化だ。

結局、競技をする上で心まで磨くのが武道であるので、普段から「他人の気持ちを考えて行動せよ」というのが先人たちの教えであると個人的には解釈している。それが出来れば仕事でも私生活でも必ずうまくいくと私は信じている。