読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

歴代最強剣士・宮崎正裕の剣道

歴代最強剣士とは誰か。剣道という競技の場合、戦前とか明治時代などにも伝説的な剣豪がいて、もっとさかのぼれば宮本武蔵とかになってくる(笑)。なかなか難しいのだが、現代剣道という点で言えば、「宮崎正裕」一択になる。

 

彼はどのような剣士か紹介したい。

私のような30代ぐらいの世代は小学生〜中学生ぐらいまでまさに「宮崎黄金期」で、毎年のように全日本選手権で彼は優勝していた。ちなみに優勝回数はダントツナンバーワンの6回!である(次いで内村良一等の3回)。剣道という競技は「強いものが必ず勝つ」競技ではなく、6回という数字はおそらく今後も破られることはないだろう。それほど彼の実力は飛び抜けていたということだ。

 

彼は剣道という競技に革命をもたらした。技に関しては、矢のような飛び込み面。相手の竹刀を払って、抑えて、ときには構えてないような状態からでも足腰のバネを十分に活かして「跳ぶ」ように打つ。剣道に身体能力が必要だということを知らしめたのが彼だ。そして、相手の打突のほとんどを空に切らせ、なおかつ、打突部位をしっかり塞いで絶対に当てさせない鉄壁のディフェンス。ここまで執拗に守る選手はいなかった。私は古い剣道動画を見ることも多いのだが、明らかに彼の登場と前後して剣道という競技そのものが変化している。攻めも守りも合理的になり、一気に洗練された。

彼は「メン」と「コテ」の2つの最高の技を持つ。下の動画を見てもらいたい。↓

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メン技に関して、彼は相手の竹刀を抑えたり払ったりするのが抜群にうまい。普通は「竹刀を抑えてメン」などは「来る」というのがバレやすいので、よけられやすいのだが、速さが尋常ではないのでそのまま打って一本にしてしまう。かと思えば何の攻めもなしに、いきなりドンと飛んできたりする。とにかく速いし、何と言っても基本中の基本である「継ぎ足が一切ない飛び込み面」なので「起こり」が全く見えない。かつ、このスピードなのでよけられない。相手がコテを打ってきたとしても絶対にメンの方が速い(笑)。つまり、どうしようもない(笑)。

 

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メンに関しては最強とよく言われるが、私はコテに関しても歴代最強だと思っている。まず、「よけた状態からコテ」というのが脅威の破壊力で数多く一本にしている。技術の高さも脅威の他ない。コテメンのメンに合わせるコテ、メン抜きコテ、コテ返しコテなど、意味不明なレベルの小手技を持つ(笑)。また、「コテを打って執拗に相手にくっつく」という戦法も彼が源流のように思う(笑)。時折、かなり上体が流れたまま相手にくっつくこともあるが、その打突後のスピードも最速。絶対に後打ちを食らわないという執念だ。

 

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上の動画は先に一本選手した試合の動画だ。彼のディフェンスについても注目してほしい。くっ付く、完璧によけるというのを実に丁寧に実践している。よける動作については体を覆うように竹刀を傾け、かつ、足を使って絶対に触れさせない。このよけ方はよく「三カ所よけ」と言って剣道界では嫌われ、全日本などではあまり使われなかった。彼は勝負に徹する剣道なので、「よけるときはしっかりよける」という考えなのだろう。一本取った後の宮崎はまさに鉄壁であった。なお、この「三カ所よけ」は安易に多用するべきではないと私も思う。これをやり過ぎると審判からの印象も良くなく、軽く当てられただけで一本になる可能性も高くなってしまう。なお、足を使わなくなり、カウンターで出頭に合わせたり、応じ技を打ったりする機会も失うことになる。宮崎選手はこの防御の体勢を取りつつも、構えるところは構え、出頭を狙ったりと上手くバランスを取って試合を組み立てている。

 

彼のウィキペディアの記事がこちら↓

宮崎正裕 - Wikipedia

「他人の稽古を観察する見取り稽古に努め、弱点や攻め方を分析しノートに記録しており、非常に研究熱心な性格だった」とある。やはり剣道が強くなるには常に研究・分析して頭をつかうしかないようだ。また、彼は中学時代、部員が集まらず教室で稽古していたそうだ。また、初段審査に5回目でやっと合格。世間で言われる「センス」なんかより、よほど頭を使って努力するほうが大成するということを我々に教えてくれる剣道界の巨人が宮崎正裕なのだ。