読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

九州学院を分析する④ 全国選抜(四連覇)における今年の九学 強さの分析と攻略法

今年の九学も強い。それが動画を見終わった後の印象だ。今回の記事では彼らの剣道を細かく分析し、"もし彼らに勝つとしたら"と仮定し、攻略法を考えていきたい。

 

まずは前回の記事に選抜の試合の動画を載せているのでしっかり見てほしい。↓

http://www.yomuken.net/entry/2016/03/31/204548 

梶谷選手と星子選手は昨年からレギュラーで大活躍していたので「核」になるのは分かっていたが、その他の選手はどうだろうという点に注目していた。新たなスターは先鋒の鈴木選手。今回の全国選抜で日本一の先鋒の名をほしいままにしたと言える。最高の試合ぶりだった。彼の剣道は、足から床に根っこが生えたような足腰の強さを土台とした瞬発力と抜群のスピードがある。そして、相手をよく見ている。相手の出鼻や打ち終わりを捉える打突の機会も抜群だ。今年の九学は鈴木・梶谷・星子のスリートップのチームと言える。彼らはそれぞれ、最強の先鋒・副将・大将だ。これは強い(笑)。という意味では、次・中の安定感が増してきたらまさに鉄壁のチームとなる。九学のことだから夏までには仕上げてくるだろう。ズバリ予想として、四度の三冠もあり得るとみる。特に抜きん出た選手が3人いる分、玉竜旗の優勝の可能性は高いだろう。

彼らが最強のチームというのを踏まえた上で、他のチームはどう戦うべきか。

 

①粘りには粘りで対抗

以前、私は九学の団体戦の戦い方について記事を書いた。↓

http://www.yomuken.net/entry/2016/02/15/233954

「引き分け」の理論と彼らのディフェンス力。今回の大会でもその「らしさ」を十二分に見せてくれた。予選リーグから決勝までの6試合、5×6=30戦で、彼らは何と2敗しかしていない。準決勝と決勝で一人が負けたのみだ。「絶対に引き分け以上で後につなぐ」という九学の伝統的戦術は今年も健在ということだ。

では、対戦相手はどう戦うべきか。これはもう、「ガッチリ作戦」しかない。つまり、こちらも引き分け前提で戦うのだ。特に先・副・大は引き分けたら「勝ち」と思って戦う事。そこでまともに勝負するのは絶対的なポイントゲッターがいる場合のみだ。5人の内、一人でも雑な試合をしたら絶対に勝てない。丁寧に丁寧に戦うしかない。正直、今回の麗澤瑞浪や東海大浦安はまだまだそのような「緻密さ」が足りない。九学はチームとして戦うので、チームとしてどう対抗していくか、練り上げていく必要がある。

サイコロを5回振るゲームがあるとする。九学と対戦するということは「5・6以外は負け」という確率で5人が勝負する様なものだ。5人がまともに戦ったら勝てない。引き分けに抑えるところは抑えられたら…。1人2人の勝負なら勝てるかもしれない。

 

②キレのある「裏」と「下」の技を持て

九学の特徴はそのディフェンス力にあるというのを何度も述べている訳だが、やはりどこかでそれを打ち破らないと勝てない。その点について考察したい。

九学のディフェンスの特徴は、まず何より 「くっつく」というところ(特に一本先取後)。くっついてこられたら強引に振り切ろうとしたり、くっつかれる前に強引に打とうとしたらダメだ。彼らはそういうところに引き技を浴びせたり出頭を押さえたりするのが実に上手い。無理は禁物で、チャンスは試合中一度訪れるかどうか、というものだと認識しておかなければならない。

しかし、彼らは間合いを操る「余す」「引く」(ボクシングで言うところの"スウェー")といったディフェンスはとらない傾向にある。つまり、手元を上げて打突部位を防いだ状態で棒立ちになる瞬間が、わずかにあるということだ。

そこで有効になるのが、「裏」と「下」の技。具体的には次のような技だ。相手が手元を上げたところに鋭く「刺す」ようなコテ。メンを見せてコテ。裏からの諸手突き。表から突くとみせて裏のメン。表から裏に転じるメン・メンの二段打ち。逆ドウ。このような技をハイクオリティに持っているか。いずれも九学から一本を奪う可能性を秘めた技だ。

 

③初太刀と「始め」の後

これは、本当は言いたくないのだが……。私は中学生のときから九学の剣道を分析しているので、ある「秘密」をつかんでいる。

実は彼ら、「始め」の後に打ってくることがほとんどない。この秘密をつかんでいる人、他にもいるのだろうか。

動画を再チェックしてほしい。「始め」の後は「ディフェンスからスタート」のパターンが絶対に8割以上のはずだ。対戦する場合、そこは勝負に出て良いだろう。「初太刀逆ドウ」などなかなか面白い。

私は普通のチームが普通に試合をして九学に敗れる試合を見たくない。「何だこいつら!みんな初太刀逆ドウじゃねえか!」そういう思いきったチームがあってもいいのではないだろうか。

 

以上で今回の記事を終了します。ちなみに書きたいことはまだまだ山ほどあります。そして、九学の分析シリーズも続編をすぐ書きます。お楽しみに!

 

 

追記: 

昨日、魁星旗だったんですね!九学がまたしても優勝。でも結構苦戦してる。あと、鈴木選手は決勝出てない模様。更に調べたら、九州選抜の決勝も出てない。"日本一の先鋒"と断定するのは早急だった?でも全国選抜決勝の動きは凄まじかったのだが…。ともあれ、九学は層の厚さも規格外ということですね。夏にはどういうチームに仕上がるのだろう。

あと、そんなこんな調べるうちにオッサンが強く思ったのは、強豪校でレギュラーになれなくても絶対に諦めるな!ということ。本当のトップ校であれば、ちょっとした好不調だけでレギュラー選考の運を掴めなかったりするので。そこから大学から先で大逆転できるかもしれない。または剣道以外で成功するかもしれない。一生懸命正しい方向に頭を使って剣道を磨けば、剣道も良くなるし、剣道以外でもその方法論を応用して必ず道は開けてくる。

頑張れ若い剣士!!