読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

米田敏郎と並ぶ歴代最高の剣道指導者・江島良介

以前、「九州学院を研究する」というテーマで複数の記事を書いた。近年の九州学院高校剣道部が残している成績というのは明らかに高校剣道界で過去最高のものであることに疑いの余地はない。その九学を率いるのは米田敏郎監督。勝つことに関して、”現在”、彼ほど優れた指導者はいないと思っている。ところが実は、あくまで個人的意見であるが、彼と並ぶか、または彼さえも上回るのではないかという指導者の名を私は挙げることができる。

その名は江島良介。

80年代後半〜2000年ごろまで中学剣道界を席巻し続けてきたスーパー指導者だ。指導歴の戦績は眩すぎて直視できないレベルだ。佐賀県の普通の公立校、神埼中・三瀬中を全中団体で優勝させること実に6回(神崎中時代は5年連続決勝進出かな?優勝回数のうち、女子も1回優勝)。個人でも2人をチャンプにさせている(神埼中・筒井、三瀬中・田中)。何がすごいかというと、これらの学校は普通の公立校であるという点だ。つまり、高校の強豪校みたいに選手を引き抜いてくることはできない。佐賀は剣道が盛んな県ではあるが、小学生時点でのレベルは福岡や熊本には劣る。全国道連の大会で上位入賞などは全くない。あくまで地元で普通に育って、普通に中学に進んだ、普通の生徒を鍛えあげての優勝だ。しかも、中学剣道というのは「全中」の「一冠」しかない。高校は「選抜・玉竜旗・インハイ」の「三冠」あるので、彼の指導歴がどれだけすごいのか分かるだろう。もう一つ加えると、彼は警察の特練から20代半ばぐらいに中学教師になり、40代で教頭に昇進しているので、指導期間はおそらく20年もない。それで6回優勝させるのは凄まじいとしか言いようがない。

 

ちなみに私は完全にこの世代だ。彼らの剣道をよく知っているし、世代には教え子がわんさかいる。江島先生の話も何度も耳にしたことがあるが、逸話がすごい。

・少年時代、母親と父親が亡くなってしまい、親に頼らずに大人になったこと。

・佐賀県警の特練から中学教師に転身したこと。

・赴任校・神埼中はタバコ、非行のオンパレードだったが、赴任早々、完全に一人で学校を締めあげてしまったこと笑(オーラが違いすぎるらしい)。

・勝利への執念が過ぎて、試合中、「抗議」の要求をすることがあること(する人、見たことある?)。

・考えたことをすぐ実行する。遠征なども思い立ったらすぐに保護者を説き伏せること。

・三瀬中は佐賀県三瀬村。「村」にある全校生徒100名足らずの学校を全中2連覇に導いたこと。

・中3の部員が3人しかいなかった年に、全中3位の成績を収めさせたこと。

・新チームになったばかりの頃には勝てなかった学校にも、夏になったら絶対に勝てるようになっていること。

・各大会後には会場のゴミ拾いを生徒にさせるが、行儀の良い行いを知らしめることにより、「旗」を味方につけること(これは、言ってた人のただの予測かも笑)。

 

そして、彼らの剣道を間近でよく見てきたが、その剣風は一言で言い表すことができる。

「九州学院とほぼ一緒」

これである。とにかく足をよく使う。ディフェンスは鉄壁で、「引き分け」を戦略に入れる。大将は超強力で、他に1〜2名のポイントゲッターを置く。あえて九学との違いを言うと、俗にいう「センス」がないような選手でも、確実にポイントを計算できる選手に鍛え上げていること。ガチガチのディフェンスで小手返し面ばかり打つような選手がいたりする笑。そういう選手がこれまた、強い。

 

なぜ私が彼の紹介をしたかというと、普通の公立校の普通の学校でも、普通の選手でも日本一になれるということを分かってほしかったからだ。剣道というものは世間に溢れている安っぽい「才能」などでは片付けることができない競技だ。彼のように、人の何倍も勝負にこだわり、人の何倍も頭を使い、人の何倍も努力する人間こそが結果を残せるのだ。

 

ちなみに彼の書籍を読んだことがあるが、幼少期から指導者になるまで、そして、全中優勝に達するまでの経緯が丁寧に描かれている。↓

君も一番になれる 二つの中学校剣道部を全国制覇に導いた育成術 (剣道日本)

君も一番になれる 二つの中学校剣道部を全国制覇に導いた育成術 (剣道日本)

 

 記憶に一番残っているのが、「剣道を指導してきて、”天才”という人間に一人も出会ったことがない」という言葉(これ、読んだの5年ぐらい前なのに、はっきり覚えている。こういう本を良書というのだろう)。強い選手はあくまで、後天的な頭の使い方と努力によって作られる、ということだ。

このブログでも、様々な技を紹介したり、選手の分析をしたりしているが、これらを読むだけで強くなれるかどうかは分からない(ブログの題名とは違うことを言っているが笑)。しかし私が思うのは、「強くなりたい」と思って、そのための情報収集をしているような剣士は必ず強くなれるということだ。そのような読者の力になれるように、一つでも「なるほどな」「使えるな」「真似しよう」と思われる記事を書いていきたい。