読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

自分の実力は調子が悪いとき

「調子が悪いから負けた」「調子が悪いからしょうがない」「調子が良かったら勝てた」

スポーツにおけるよくある言い訳である。はっきり言って、このような言い訳をする人間というのはそもそもの実力がない。一流のアスリートになりたかったら、調子が良かろうが悪かろうが、安定した結果を残せなければならない。勘違いしている人が本当に多いのだが、自分の実力というのは「絶好調のとき」ではなく、「調子が最悪のとき」に表れるものである。

イチロー選手がヤンキース時代、「田中選手(マー君)はどういう選手に見えますか?」という質問を受けたときの答えが興味深かった。

「彼は勢いで相手を抑える投手だと思っていたが、全然違った。思っていたよりかなり器用な選手だ」

「どういうところが?」

「自分をコントロールしながら投げられる。つまり、調子が悪いときは悪いなりの投球術というのを持っている。だから日本でもアメリカでもこれだけの成績を挙げられる」

なるほどな、と思った。田中選手は日本での最終年、シーズン24勝0敗という驚異的な成績を残した。米国に渡ってもクオリティ・スタート(6回を3失点以内に抑える)率が非常に高い。登板の中には当然、調子が最悪のときもある。それでも彼は勝ち続けている。調子に応じて、ピッチングを細かく調整できるのが彼の強みなのだろう。

剣道家に多いのが、「◯◯に勝ったことがある」という自慢。剣道は実力と結果が伴いにくい競技であるから、そのような自慢は何の実力の証明にもならない。むしろ、「◯◯に負けたことがある」というのがその人の実力だと捉えればいいと思う。

では、調子が悪いときはどうすればよいのだろうか。まずは何より、「自分の剣道」というのを細分化し理解すること。「自分の持ち技」「打てない技」「スピード」「竹刀の振りの速さ」「得意な攻め」「ディフェンス」etc・・・。調子が悪いときは何かが狂っている。本当に「ちょっとしたところ」が調子の良し悪しの分岐点になっている。その「ちょっとしたところ」というのを突き止めることが何より重要だ。考えても分からないときは調子が良かったときのビデオを見ると良い。調子が良いときはどのように攻め、どのように守っているのか。そして調子が悪い現在との相違点を洗い出すべきだ。一つポイントを挙げれば、「足」がその原因になっている場合が多い。

メンタル面では第一に「打たれない」という意識を念頭に置くこと。特に団体戦では「負け」というのは厳禁で、最低でも引き分けにはもっていかなければならない。他のメンバーからしてみれば、そいつが調子が良かろうが悪かろうが知ったことではない。「チームのため」の戦いに徹するべきで、最低限「打たれない」「引き分けには抑える」意識でとにかく粘り強く試合を展開していけば、徐々に相手の動きが見えてくるものだ。そして、これもまた「足」を動かし続けること。そうすればそう簡単に打たれることはなく、「攻め」に関しても突破口が見えてきたりもする。そうして粘り強く戦ったとしても「格下の相手に引き分けた」という試合も多くなるだろうが、それは一向に構わない。もし、先生に「何で勝ちにいかないんだ」とか「なぜ一本取れなかったんだ」とか言われても気にしないで良い。「チームのための戦い方」というのはそのようなものであるし、それが出来る選手というのは間違いなく優秀な選手なのだから。