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大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

密着状態から引き面を決める梅ケ谷

今回は技の解説シリーズを頑張って書いていきたい。

今回紹介する技はまたまた「引き面」。個人的に引き技が大好きであり、youtubeを観ていたら「おっ!」と思う技があったので解説することにした。この技は使えますよ〜。

 

これまでの引き技解説記事がこちら。これらを先に読んでおかないと説明がわかりにくいと思うので、初見の方は先に読んで下さい。↓

www.yomuken.net

 

今回解説する引き面がこちら。引き面の帝王・梅ヶ谷の技だ。↓

10:43〜の引き面

www.youtube.com

 

これを見たら誰もが「ええっ!?」となるはずだ。スピードも勿論すごいが、「ここから打てるの?」と感じるはずだ。何しろ、完全な密着状態から放たれるのだから。

引き技が決まるシチュエーションというのを想像してほしいのだが、実は決まるときというのは通常、「鍔迫り合いから少し離れた瞬間」だ。少し空間がないと打突が竹刀の根本に当たり、一本になることはない。

ところがこの引き面はそのような空間を必要としない。相手が「ここなら大丈夫」と思っているところにズゴーンと引き面を浴びせることができるのだ。

 

それでは静止画を元に解説していく。

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鍔迫り合いから解消しようとする両者。

 

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 距離を取り、

 

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一足一刀の間合いとなる。

 

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ここから「かつぎ」のフェイントを入れる梅ヶ谷選手。

 

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しかし、相手(早大・久田松選手)もしっかりガードしており、打ちどころがない。

 

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 そして完全に密着。この間合なら、いくら引き技を打とうが元打ちになってしまい、一本になることはないと誰もが思う。

 

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 ところが、梅ヶ谷選手はこの場面で引き面を発動。相手は「ここなら大丈夫」と感じたのか、ガードを下げている。

この場面のポイントは右にステップを踏むように足を動かしていること。

 

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 面を捉える。しかも、竹刀の根本ではなく先端で捉えている。

ポイントは静止画の通り、左手を右肘ぐらいまでグッと引きつつ打つことだ。剣道における大半の技とは全く別物で、左拳は体の中心線上にはない形となる。これで打突に角度をつけ、竹刀の先端で相手の面を捉えることに成功している。

なお、右にステップするように踏み込むのも「角度をつける」のが理由。

 

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そして、一気に下がる。

 

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旗三本。

 

 

この技、特に腕の動きがめちゃくちゃ難しい。竹刀に力が伝わりづらいのだ。なおかつ、一瞬の一挙動で打たないとキレも出ないので、超高難度の技と言える。

そして、気になった人もいると思うのだが、刃筋は立てず、竹刀の横で打つのがこの技だ。なので、真剣であれば相手は切れないということになる。そういう理屈を細かく指摘する人もいるが、私は一本になればそんな理想論はどうでもいいと思っている。それよりもこの技の技術レベルの高さを認め、相手の油断を打つという打突の機会の素晴らしさを認めるべきだと思う。

 

この技は全日本選手権に出ている人でも大半が打てない技だと思う。ごく少数の剣士がこの技をものにしている。強豪校で言えば、大濠や阿蘇高がよく使う技だ。私も初めて見たときは衝撃だった。読者の方もある程度の基礎が出来てきたら是非チャレンジしてほしい。