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tinder歳上女子の家で

Tinderの歳上女性との冒険 - 読むだけで強くなれる剣道ブログ

 

イクオくんと〜、Tinderの歳上女子が〜、出会った〜。 - 読むだけで強くなれる剣道ブログ

 

今回は上2つの記事の続きになります。

 

その土曜日、私は待ち合わせへと向かった。

例のごとく(↓以下参照)、ジムから直行で待ち合わせの喫茶店へと向かう。

私流tinderの使い方 - 読むだけで強くなれる剣道ブログ

彼女はもう喫茶店の中で待っていた。私はジムで噴出させたアドレナリンをほのかにまとって、彼女の席へと近づいた。

目が合う。彼女は写真と変わらぬ美人だった。

「こんちわー」

やはり、「ジムから直行」スタイルは余計な心配事や緊張から解き放たれる。私は理想的な心理状態で彼女と対面できていた。

「すいません、いきなり誘っちゃって」

「全然いいよ。私もヒマだったし」

彼女は意外にも、会うとタメ口で話した。私が歳上に対しては絶対にタメ口をきかないタイプであるのを見抜き、そうであれば自分はタメ口で話したほうが会話が弾むと判断したのかもしれない。そんなことをこちらが考えてしまうほど彼女は知的で、相手に合わせたコミュニケーションがとれる人だった。

しばらく他愛のないことを話した後、気になることをひとつ質問した。

「旦那さんは何してるんですか?」

「家にいるよ」

「そうなんすか」

(何かの理由で家にいなかったらよかったのに・・・)

あさましくもそう思った。

「家にいるっていうか、待ってるよ。ひとまず荷物置きに行こうよ。で、ごはん行こう」

「わかりました」

 

 

こういう流れで私たちは彼女のマンションへと向かった。

(旦那さんと会うとき、どんな挨拶をすればいいのだろう・・・)

当然ながらそう思った。頭の中は”3人でしよう”のフレーズでいっぱいだったからだ。旦那にはLINEのやり取りは全て見せると言っていた。そうであれば旦那も嫁がそう言ったことも把握しているはずだ。そして今、嫁を”食べる”ために素性の知れない男がのこのこと家にやってきているわけだ。

とりあえず「礼に始まり礼に終わる」ことにしよう。剣道で身に付けた礼儀作法を実践し、波風を立てないよう接しようということだけ、その道中に決めた。

 

マンションに着いた。立派なマンションだった。オートロックを解錠し、彼女の玄関へと向かう。

彼女が玄関の鍵を回す。ドアが開く。さすがに緊張した。

「こんにちは。はじめまして」

旦那さんは玄関で待っていた。

「こんにちは。◯◯です。今日はよろしくお願いします」

”よろしくお願いします”と言った後、私はハッとしてしまった。何が”よろしく”なのか。余計な意味を含んでしまったみたいで少し狼狽した。

しかし、そんなことは全く気にしてない様子の旦那さんは「お上がりください」と言って部屋へ案内してくれた。

リビングのソファに座る。彼女はコーヒーをいれてくれているようだ。私は彼女にも旦那さんにも何の会話を切り出したらいいかわからず、しばし沈黙していた。

部屋を見渡す。きれいな海をバッグにした二人の写真が飾ってあるのを見つけた。

(これだ!)

「これ、沖縄ですか?」旦那さんに聞いてみる。

「そうなんですよ、石垣島です」

「僕も2年前に行きました!いいですよね〜」

「最高です」

「西表とか波照間も行きました?」

ここから普通に会話ができるようになった。

旦那さんは実際には、喋り好きの人で、旅行や外国好きのところなど、私と趣向が似ているようだった。体育会系ではないが、勉強ばかりやってきたタイプではないようだ。気さくで嫌味のない人柄で、仕事もよくできるだろう。コーヒーを飲みながら話しているうちに私の緊張もほどよく収まってきた。

話していると、

「ねーねー、しばらくしたらごはん行こうよ」

彼女がそう切り出した。

「◯◯さん、近くにおいしい韓国料理屋あるんですよ。行きましょう」

旦那さんオススメの居酒屋へ向かうことになった。

 

私達一行はその店でおいしい料理と酒を楽しんだ。私はその場を楽しむと同時に旦那さんがどういう人か探るのに留意した。ホッとしたのは、彼は酒豪で、よく呑んでくれたことだ。そして、かなりの量を呑んでも笑い上戸で、どんどん三枚目になっていってくれた。

「◯◯さん、マッコリ呑みましょうよ」

「いいですよ」

三人はよく食べ、よく呑んだ。会社の人間の話、趣味のカメラの話、ドラマの話、素直に楽しい酒だった。よく盛り上がり、旦那さんが思いつきで放った「マッコリでモッコリ」というフレーズさえ面白く感じた(意味深ではあるが)。

ひとつ問題だったのは私の方もかなり酔ってしまったことだ。

そして、帰宅となった。

 

(このあと、どうなるんだ・・・)

本当に”3人で”となるのか、期待と不安が私の中で渦巻いていいた。ただ、結構酔っている。どうなるのか。

 

マンションに着いた。

「◯◯くん、先にお風呂入っていいよ」

彼女はすでに私のことを”君付け”で呼ぶようになっていた。

言われるまま、風呂に入る。ここで我ながら関心したのは、シャワー中、終始私の竹刀は上段の構えをとっていたことだ。ここに来て一切萎縮しない我が竹刀を褒めてやりたいと思った。

風呂を出る。

「あがりました」

「はーい。◯◯くん、今日こっちで寝てもらっていい?」

案内されたのは夫婦の寝室だった。

(ここで寝ていいのだろうか・・・)

しかしそうするしかない。そのまま私はベッドに横になった。酒は当然まだ残っており、頭はフワフワする。

夫婦はリビングにいる。私は寝室のドアを開けっ放しで聞き耳を立てていた。次に旦那さんが風呂に入ったようだ。彼女はリビングでテレビのニュースを見ている。

(話しかけようか、どうしようか)

ちょっと考えたが、何も話さず、私は流れに身を任せようと思った。すでにこの展開を楽しんでいる自分がいた。

浴室の扉が開く音が聞こえた。旦那さんが風呂から上がったようだ。この後旦那さんはどの部屋に行くのだろう。こっちに来る?リビング?違う部屋?

続いて彼女が浴室へと向かった。旦那さんはまだリビングにいるようだ。

しばらくしてテレビの音が消えた。旦那さんがどこへ向かうか耳を澄ませる。

「ガチャ」

旦那さんは違う部屋に入ったらしい。

しばらくしても出てこなかった。

(彼女はここで寝るのだろうか)

私はそわそわしながら彼女が風呂からあがるのを待った。

しかし、問題は酔った後の睡魔であった。ベッドに寝転んだまま、二人がシャワーを浴びる時間、耐えることはできなかった。

(もう無理だ・・・)

私は寝落ちした。

 

 

Zzzzzz

 

(ん・・・?)

夜中、私は目が覚めた。

そうだ。こんな状況で寝ていたのだ。

(あっ、そういえば・・・)

振り向いたら彼女が寝ていた。

部屋を見渡す。部屋には彼女と私だけだ。

とりあえず尿意を催していたのでトイレに行く。

(あ〜、寝てしまったか〜。しょうがないな)

トイレから寝室へ戻るとき、旦那さんが寝ているであろう部屋に聞き耳を立ててみた。何かの音が聞こえる。Youtubeっぽい音だった。旦那さんは起きているらしい。

寝室へ戻る。彼女は寝ている。起こさないよう、静かにベッドに入った。

二度寝に入る。

1分。

2分。

3分。

・・・まったく寝付けない。

眠れなくなったら彼女のことが気になりだした。仰向けの状態でも彼女の体から放たれるシャンプーと女性の香りにムズムズとしだした。次第に竹刀は上段の構えへと変貌を遂げた。

(いかん・・・)

どうしようか色々考えた。

私の答えは「トイレで一人稽古」だった。残念だが、この竹刀を収めるにはそれしかない。そのためにベッドを離れようと立ち上がった。そのとき、

「・・・◯◯くん」

彼女が起きたようだ。

「すいません。起こしました?」

「ん〜ん。いいよ。トイレ?」

(・・・・・・・・・・)

「いや、喉乾いたからジュース飲もうと思って」

ベッドの脇に置いてあるカバンからジュースを取り出し、飲む。

「ちょっとちょうだい」

「いいですよ」

彼女も飲む。

そして、私はベッドに潜り込んだ。

 

彼女は体を絡ませてきた。私も我慢できない。

激しく絡み合った。

(このまま・・・しかし・・・)

「ダメです、◯◯さん・・・!旦那さんいるのに・・・!」

「あの人は”いい”って言ってるの・・・!」

「本当ですか・・・!?」

「本当に・・・」

「いや、ダメです!」

 

私は寝室を出て、旦那さんの方へ向かった。

やはり旦那さんは起きているようだ。部屋をノックする。

「・・・はい」

「起きてます?」

「はい」

ドアを開ける。

「あの・・・」

何も言えない私に対し、旦那さんは笑顔だった。

「いいんですよ」

「・・・はい」

一礼で返した。深く聞こうとは思わなかった。

 

もう流れに従う他はなかった。

彼女は激しかった。私よりも。

ただ一つ、いつもより丁寧にやろうと思った。

彼女はそれに応えるように躍動した。

 

終わった後、彼女は私の腕の中で朝を迎えた。

 

起きて、彼女は3人分のトーストを焼いてくれた。

私たちは何もなかったようにテレビのニュースを見ながらトーストをほうばり、コーヒーを飲んだ。

 

そして、私はそのマンションを後にした。私が帰るときも夫婦は笑顔だった。

「ありがとうございました。」

決めていたように、”礼に始まり礼に終わる”お宅訪問となった。この”ありがとう”は私にとって、これまでで最も複雑な”ありがとう”であろう。

 

帰途につきながら、私は何やらモヤモヤとした得体の知れない敗北感に襲われた。おそらく、旦那さんに対してだ。あの夜中の旦那さんの笑顔。すべてを悟って受け入れた彼。そして、ただの欲望に従い行動した自分・・・。

冬の帰り道はいつもより風が乾いているように感じた。