読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

剣道で最も必要な筋肉を鍛える「デッドリフト」

あまりにも筋トレに関する質問が多いので、そろそろ書いていこうと思う。

剣道は全身を使うスポーツなので、全身を鍛えるべきなのだが、もちろん優先順位はある。そこでまず、最重要となる筋肉の部位を説明したい。

最初に、こちらの静止画を見ていただきたい。↓

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これらは西村選手の飛び込み面の静止画である。

当然だが、剣道の打突というのは、「一歩で体を前に運ぶ」動き、だ。この動きにスピードがあれば、一本を奪える確率は飛躍的に高まる。これが私の思う(おそらく皆様も)剣道で最も重要な動きであり、筋力的にも鍛えたいところである。

 

この動きを司るのは体の背面の筋肉である(赤線を引いたところ)。具体的には、ハムストリング、臀筋群(大殿筋を中心に)、脊柱起立筋だ。

一個ずつ説明したい。まず、足に注目してほしい。剣道の打突の動きは足を後ろに蹴る動きだ(「股関節の伸展」)。これに必要なのが大臀筋を中心とする臀筋群、そして太もも裏側のハムストリングだ。

こちらが分かりやすいかと思う↓

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ここから、

 

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こういう風に足を後ろにもってくる動き。

 

剣道の蹴り足と全く同じ動きなのは誰でも分かると思う。ここで勘違いしないでほしいのは、「足を後ろにもってくる」とは言え、「動作の終わり時点でも、背中から膝裏まではほぼ真っすぐまでにしかならない」ということ。つまり、足を後ろにけりだした分、上半身は前に倒れるのが自然な動きである(西村選手の面打ちもそうなっているので確認してほしい。陸上短距離も全く同様)。ここで気付いた方もいらっしゃると思うが、剣道の打突において上体が前傾するのは当然であり、それこそが正しい体の使い方なのだ(飛び込み面のように足の蹴り出しが大きい打突ほどそれは顕著になる)。

 

次に打突の瞬間から打突後の体勢の処理について。

上で述べたように、飛び込み面等の打突の瞬間、上体は前傾姿勢になることが多い。打突の瞬間はその上体を維持しなくてはならない。そして、打突後は素早くその上体を立て直す。その働きをするのが「脊柱起立筋」である。↓

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ここから、

 

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上体を後ろに引く動き。

 

脊柱起立筋が重要な理由は3つある。

まず、今流行りの「体幹」の作用でよく言われる「下半身の力を上半身に伝える」ため。

次に、「背中の筋肉や肩の筋肉を動員しやすくし、打突の威力を増幅させる」ため。背中が丸まっていたり、左右にブレていたりすれば打突に威力が出ないのは剣道家であれば誰でも分かるだろう。これは筋トレでも同じで、背骨のS字カーブを保ち胸を張らなければ体の後ろの筋肉というものは全く使えない。「胸を張れ」「背筋を伸ばせ」というのは剣道の歴史が培った素晴らしい身体操作なのだ。

そして、打突後の体勢の立て直しのため。つまり、前傾させながら打突し、その後素早く上体を起こすためだ。この「上体の起こし」こそ、打突のキレを左右する。高鍋選手等はこの「上体の起こし」が抜群に速い。反対に、この「起こし」が遅い人は「倒し(上体の前傾)」、つまり、打突そのものが遅い傾向にある。なぜか?おそらく、体というものは自分の筋力や神経というものを把握しているのだろう。「速く前傾させよう!」→「いやいや、”起こし”の筋力がないから無理!」となるのだ。

(これ、持論だったのだが、同じことを述べているスペシャリストの方がいた!ちなみにこれ、ボクシングの広背筋に関しても同様の疑問があったので検索していたら見つけた。私のマニアックぶりが理解いただけるだろうか笑↓)

#173 ボクサーのパンチ力をアップさせるために広背筋を鍛えろって言うけど、どうなの? | S&Cつれづれ

 

ここまでずいぶん長くなってしまったが、ではどの種目でそこを鍛えるのか説明したい。

ナンバーワンと言えるのは「デッドリフト」だ。知らない人ややり方が曖昧な人はこちらの動画を見ていただきたい。↓

www.youtube.com

このデッドリフト、体の裏側の筋肉全てを使う、凄まじい種目だ。特に剣道で重要な脊柱起立筋、臀筋群、ハムストリングの3つはヤバイぐらいに刺激が入る。おそらく初めてやった後は数日間そこの筋肉痛に悩まされるだろう。だが、その筋肉痛の箇所が剣道で使う部位だというのを確実に実感することになる(こんなに嬉しい筋肉痛はない)。

また、上で紹介した動画はコンパクトによくまとまっていると思う(これまたYoutubeがある今の時代は素晴らしい!)。やり方については私が説明するよりこの方や数多くのフィットネス系Youtuberの動画を参考にしたほうが良いだろう。私からのアドバイスは以下に箇条書きにしたい。

 

・フォームは「自分の形」を求めること。「絶対解」は無い。例えば私は上の動画の方よりかなり足幅が広く、ガニ股気味、腕が短いのでお尻は自然と下がる。胴体が長いので早めの段階で上体を起こすのがしっくりくる。

・最初の一ヶ月ぐらいは重量も回数も絶対に求めないこと!フォームだけを気にするべし!(メチャクチャなフォームでも意外に重いのが上がってしまうのがデッドリフトの怖いところ。だが、フォームが良くないと絶対に怪我をするし、重量も上がっていかない)

・腰ベルトを必ず装着し(持ってない人は絶対に購入すること)、腹圧を高めて行うこと!「腹圧」が分からない人はこちらを参照↓

www.youtube.com

 

・腰だけは絶対に丸めないこと!

・腰が丸まるのは特に2レップ目以降!1レップ1レップ止めながら行うこと!(下に降ろしたら一度腹圧を抜いて呼吸、もう一度腹圧を高め腰が丸まっていない体勢を作り直して上げる!)

・「限界に挑戦」や「1レップMAX挑戦」はなるべく控えること!フォームが整うまでは絶対に禁止!(デッドリフトは限界まで追い込む種目にしないほうがよい。体の裏側の筋肉のうち、どれかが最初に疲労し、そこをカバーしようとフォームが崩れて怪我をする)

※ここまでの内容は絶対に絶対に守ってほしい。デッドリフトは諸刃の剣で、効き目とは裏腹に本当に怪我しやすいトレーニングでもある。私自信、大きな怪我はないが、数日間筋肉が傷んだことは数回ある。それは上記のどれかを守れなかったことが原因だ。逆に言えばこれらを守れば怪我することはほぼないと思う。デッドリフトが最高のトレーニングだと思うからこそのお願いだ。

 

ちなみに私のデッドリフトの取り組み方を紹介する。半年前ぐらいにデッドリフトを再開させ、おそらく1レップMAXは170ぐらいだと思う(怪我回避のため1レップ挑戦や限界挑戦はしてないので予測)。私はこちらの表を参考にしている。↓

スクワットとデッドリフトMAX重量早見表(RM換算表)

こちらの表だと150キロを4回上げられたら1レップ173キロ。私の限界はこの辺だと思う。それで、大体の自分の重量を把握して、限界より15キロぐらい低い重量に収まるように、それを3セット。例えば、140✕4レップ(1レップ換算157キロ)✕3セット、のように行っている。そして、それがあまりにも簡単に感じたら重量や回数を上げる、という具合だ。このやり方であれば、怪我やひどい筋肉痛もないのでオススメできると思う。

 

ということで、今日もデッドリフトと背中の筋トレの日です!今からジム行ってきます!\(^o^)/

皆さんも是非やってみてください!剣道筋にガッツリ効きますので!