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大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

左足は蹴るな!

「左足で思い切り蹴って打て!」

よく指導されることなのだが、これ、大嘘なのだ。今回はその話をしたい。

 

「左足を蹴る→体が前に出る→右足で踏み込む」

打突における下半身の動きについて、多くの方はこのように考えていらっしゃるのではないだろうか(推測)。

だが、経験上、この動きは絶対にやめたほうがよい。少なくとも「意識」の上でこの動きは厳禁だ。

なぜか。まず、「蹴る」という意識をもった場合、左足に全体重が乗ってしまう。その全体重を左の臀筋群とハムストリングだけ一気に押し出すような形になる。つまり、それらの筋肉のみで全体重を支え、なおかつ、高スピードで体全体を前進させるわけである。これではいくらブラジル人女性レベルの大殿筋を持っている剣士でも負荷が高い。

結果、上半身がブレやすくなり(力が前に行かず、上方向に抜けるような感覚となる)、体全体を鞭のように使った打突はできない。体全体を鞭のように使う打突が理想だとしたら、これはハンマーで殴るような力んだ打突となる。

 

ではどうするか。

意識としては「右足を前に出す→左足は勝手に蹴る→右足で踏み込む」。これが正解である。つまり、「左足で蹴る」という感覚は全く必要はなく、ただただ「右足を出す」「重心を前に移す」ことだけを意識した方が良い。右足が前に出て床を離れている瞬間、左足は勝手に床を蹴ってくれる。しかも、このときにはすでに重心は前方に動いているので、全体重を受け止める必要はなく、生み出すパワーを全て前方向へ使ってくれる。

※当然、「右足を前に出す」ときも左の臀筋群とハムストリングの出力が必要だが、この時点ではMAX出力ではない。ある程度重心が前に行ってから「ポンッ」と勝手に前方へ出力してくれる。つまり、グイ〜〜、ポン!という感じの出力の仕方になる。分かりにくい!(;O;)

 

以下、静止画で説明

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ここから、

 

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右足を出す!重心も前へ!

 

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左足は勝手に床を蹴る。

 

 

この正しい意識を持てば、打突はどうなるか。まず、上半身のブレ(上方向への「抜け」)はほぼゼロになる。腰がまっすぐ相手に向かうような美しい打突である。そして、上半身のブレがなければ体全体の筋肉をきれいに使って「しなる」ような打突ができる。つまり、下半身の力を剣先まできれいに伝えることができる。

この2つの「意識」の違いは「エア剣道」で試してみたら明確に理解できると思う。上半身のブレ、前への推進力、パワーの伝導、全てにおいて後者の方が勝ることが確認できると思う。

また、このブログで「最も基礎的かつ重要な技術」と位置づけている「左足を継がない」という打突もこの「意識」を持てば実現しやすいと思う。というより、強制的に継ぎ足なしの打突をせざるを得なくなるのでオススメだ。

ちなみに補足。私は常々「筋力が重要」「筋トレはマスト」などと言っているが、剣道の技術において、「ガッ」とどこかの筋肉を収縮させるような意識は絶対に持たない方が良い。剣道の動きというのは全身の筋肉が連動しているものであるし、何なら、どれだけ筋肉を使わずに動くか、というのが重要な技術なのだ。(だからこそ筋力が必要。意識的に「力を入れる」ということが厳禁なのだから)

また、これもよく言われることなのだが、「左足重心」「左荷重」。これもはっきり言って間違いだ。これを真に受けたら上で述べた「間違いパターン」を忠実に再現することになる(おそらく、「オッサン剣道」を絵に描いたようなカチカチの打突になる)。

以上、スムーズな打突、鋭い打突、美しい打突を目指す上でのポイントを終了する。

これらの記事もまだ読んでいない方は併せて読んで頂くと打突の前〜後の一連の「意識」が理解できると思う。↓

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