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大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

わりと究極の☆上段対策へのアンサー

過去記事で「上段対策を教えて下さい」という内容をアップしました。なぜこんな記事をアップしたのかというと私自身が現役時代、対上段は不得意で、自分が記事を書くレベルにないと思ったからです。そして、予想以上の素晴らしいコメントをたくさん頂きました。本当にありがとうございます。それらの意見を集約して、今回一つの記事にしてみたいと思います。なお、普段は「〜だ」「〜である」と生意気な書き方をしておりますが、今回は他人様の意見を集約して自分の考えをまとめただけなので「〜です」「〜ます」調で書いていきます。質の高い内容が書けそうです。ここまで深く「対上段」に切り込んだ文章はネット上はおろか、本にもないかもしれません(他人様の意見のパクリですけど😳)。

では、いくぜメ〜ン😜

 

①構え

基本は「剣先の延長線上を相手の左小手につける」形だと言われます。

これよりもっと右寄りに剣先を置いたら(右に外す感じ)相手からしたら小手が非常に打ちにくくなるので、防御に適した構えと言えるでしょう。反面、突きは狙いにくくなります。

そして、相手の手元の中に剣先を置いたら突きが狙いやすくなります。右小手も狙いやすくなりますね。かと言って左小手も十分狙えます。ですので、これは攻めを重視した構えと言えます。反面、相手からしたらこちらの小手が丸見えですので、そこは狙われやすいでしょう。

上記の「右に外す」「基本形」「中に入れる」の3つの構えは状況に応じて使い分けるのが最も効果的でしょう。

 

②相手の技を封じる

まず、対上段で最も怖い「片手面」を封じることが重要です。

最高の形としては「裏からのすり上げ面」を一度打っておくことです。これが「お前が片手面を打ったらこうなるよ」という最高の布石になります。しかし、この技は合わせるこちらも結構勇気が必要です。「来た!」というのは認識できても、それが面か小手かは瞬間的に判断しづらいからです。普通にこちらが「片手面に対しての裏すり上げ面」を狙って、そこに小手を切り込まれたらカウンター気味にえげつない小手を決められてしまいます。そこで個人的に、「どちらでも対応可能」の裏すり上げ面を習得することをおすすめします。もし、それが小手だったとしても打たれないすり上げ方をしたら良いのです。ポイントは「手首を手前の方にしっかり返してすり上げる」「竹刀の根本ですり上げる」「刃筋に近い向きですり上げる(刀であれば邪道ですが、いつも言っているようにそんなことはどうでもよいです)」といったところです。これら、言葉で説明しておりますが、実際に「エア剣道」で「小手も面も打たれないすり上げ方」を試して頂ければ言っていることがわかると思います。

また、「片手面封じ」の秘策として、「片手面抜き逆胴」も有効だと思います。対中段であれば、こちらの動画の最後の一本です↓

www.youtube.com

上段の選手は片手面を打ったときに竹刀から離した右手で胴を覆います(だから通常の抜き胴は打てない)。しかし、その右手は逆胴までは覆いきれていないのではないでしょうか。ですので、十分に一本を取る可能性も秘めている技です。勿論、きれいに当たらなかったり右手でガードされたりしてもそれは「片手面封じ」として十分な布石となります。

次に「片手小手封じ」と「諸手小手封じ」について。

これは、前述した「右に外す構え」のときは全く打たれることはないです。ですが、「基本形の構え」であっても上手い上段の選手はそれに対して角度をつけた片手小手を決めることができます。よく地稽古のときに、構えたままの相手に片手小手を決めてドヤっている上段の方がいらっしゃいますよね。それこそ「それぐらいの角度だったら余裕で打てるぜ」ということなのでしょう笑。

この対策も前に述べた「面でも小手でもどちらでも〜」のすり上げ面が最高の対策になると思います。「どっちかわからない!」といった場面でも使えるからです。とは言え私の経験上、上段の方は不器用な場合が多いので、わりと小手にくる初動は見えました。体ごと向かってくるときは面、竹刀だけ動かしているときは小手、というイメージです。ですので、場合によっては「すり上げ」のように裏で受ける形だけでなく、表で受けることも多いかと思います。その場合は必ず「返し面」をブチ込んでおきましょう。相手の頭が割れるぐらいに。勿論、当たらなくても布石になります。

また、その他フェイント系の技の封じ方についてです。

上段について間違いなく言えることは「技のバリエーションが限られる」ということです。フェイントと言っても「面を見せて諸手小手」「面を見せて胴」「面を見せて逆胴」「フェイントから中段に下げて諸手突き」ぐらいでしょうか。ポイントは「フェイントからはほぼ”下”を狙う」という点です。ということはその瞬間、面が空きます。上段の構えの特性上、出小手や抜き胴は狙いにくいのでフェイント時の飛び込み面は牽制としてかなり有効です。「あまりゴチャゴチャやったら面狙われるな・・・」と思わせることができるからです。勿論、そこに飛び込み面を合わせるはずが、構えが動かず、周りから見れば「あいつ上段に対して何で面打ってんの?」と思われても気にする必要はありません笑。大事な布石ですので。

 

③間合いを詰める

「対上段」はとにかくここが重要だと思います。②で「技を封じる」ことについて書きましたが、それはこの「間合いを詰める」ことをやりやすくするためです。とにかく緻密に、あらゆる被弾の可能性を排除しつつ、こちらは間合いを詰めて打ちやすい状況を作る、それが上段対策の肝だと言えます。

もう一度言いますが、この「間合いの詰め」は「とにかく緻密に!」が重要です。絶対に雑にならず、ねちっこくしぶとく詰めていくべきです。

当然、②で述べた「技を封じる」というのは「間合いの詰め」と並行して行っていきます。詰め方としてはよく言われる「右回り」「右斜め前」が基本にはなります。ただし、そこからの打突は「横横横・・・縦!」となるため、打突の機会がバレやすいようです。ですので、「横縦横横縦縦横・・・」のように横と縦をランダムに使って間合いに入っていくことが効果的といえます。それプラス、動きの速さに緩急をつける、止まる場面も作る、などの変化があれば相手からしたら捕まえにくいでしょう。また、時に片手を外して防御の姿勢を取りつつ思い切り詰める、踏み込みのフェイントを入れる、なども効果的といえます。

そして、「どのくらいまで詰めるか」ですが、これは個人の特性によります。例えば、「ある程度遠くからでも刺すような小手が打てる」場合はそこまで詰めなくて良いですし、「”返す”のは自信があるから究極まで詰める」という方もいらっしゃいます。自分の特性を見極めた上で判断しましょう。

 

③試合運び

個人的には、対上段は「試合後半」が勝負のタイミングだと思います。相手の技を一つひとつ潰していき、「どの技も出せない・・・」という状態を作る。そして、丁寧に丁寧に間合いを詰めていきつつ、クセを見抜いていく。そして確実に仕留める。こういう試合展開を実現するためには少なくとも3〜4分を要します。試合終了までその状況は作れず延長、もしくは引き分けに終わることも多くなるでしょう。それはしょうがないです。やるべきことをやった結果なので。ですので、「簡単に一本は取れない」「丁寧に丁寧に」「ねちっこく、粘り強く」と自分に言い聞かせて試合に臨むことが重要です。

そして、重要なのが「突き」です。私の現役時代の反省点として思うのが「上段に対しての片手突き」をあまり練習していなかった点です。この一打を有効打突にできれば全く試合展開の幅が違ってきます。前に「諸手突き」の記事で述べたことがあるのですが、「突き」は面打ちより小手打ちより「速く」打てます。初動から竹刀が打突部位に届くまでの時間が最も短いのです。それが最大の強みで、突きに対してカウンターを合わせるのは上段にとっても難しいのではないかと予測できます。「左小手に対して片手面」は上段の常套手段なのですが、「突き」しかも諸手突きより高速で放たれる「片手突き」に対してはなかなかカウンターは難しいと思うのです。ですから、「突きが来る!」と思ったら上段は左小手で突きをかばう動作を見せます。そのときは小手がガラ空き・・・という展開も期待できます。「突きに来るか、小手にくるか判断できない・・・」という攻めが展開できたら上段にとっては脅威でしかないでしょう。なおかつ、上で述べたことも併せて実践し、「打っても返される・・・」という状況に持っていくのが理想と言えます。

 

④瞬間的な判断

上段の選手は構えをそのまま動かさないわけではありません。特に「両手を引く」「両手を下げる」というアクションを頻繁に起こします。

このときの上段の選手の心理を理解することが重要です。

「両手を引く」→こちらの打突を抜こうとしているor左小手、右小手を怖がっている

「両手を下げる」→打ち気があるorフェイントを入れようとしている

まず、「両手を引く」という動作についてです。この場合、こちらの攻めが効いているか、こちらの打ち気を感じ取っている場合が多いです。この瞬間は「抜いて面」以外には何も打てない状態です。片手面も片手小手も諸手小手も打てません(あくまでこの”瞬間”のみですが)。この一瞬はズバリ、片手突きを狙いましょう(勿論、しっかり間合いを詰めきれていれば、の話です)。かなりの近間まで詰めることが出来ていれば諸手突きでも良いです(逆にまったく詰めきれていないときは何も打たない方が良いです)。また、この瞬間にツッツッと間合いを詰めるのも有効です。このアクションはチャンス!と捉えて良いでしょう。

次に「両手を下げる」とき。このときは相手は何かしら「仕掛けよう」としていることが多いです。首元まで構えを下げてそこから片手面に来ることもありますので注意しましょう。ここで狙うべきは「飛び込み面」です。「刺すような」飛び込み面を狙うのが良いでしょう。何故かと言うと、そこから相手が

片手面を打ってくる→相面で乗れる

片手面or諸手小手を打ってくる→こちらの面が速い

フェイントを入れてくる→面が空く

というように、いずれのパターンでも飛び込み面が脅威になるからです。上で述べたように、その面が当たらなくても十分それは布石になります。

 

⑤稽古

上でも述べたが、個人的な反省は「片手突き」の反復練習が足りなかった点です。この技は対上段において必須と言えます。特に打突後の体捌きを練習し、後打ちをもらいにくい動きを身につける必要があります。

あとは「小手」も「面」も「刺すような」、極力「振らないで」打つ技術と筋力は必要でしょう。相打ちや瞬間的に速く打てるかどうかが対上段においては更に重要になると思います。

それと、何度も言っている「左足を継がない打突」。これがないと対上段は無理です。ここまで述べてきたこともこの最低限の技術があってこそです。

チームとして考えると、一人は強い上段がいてほしいですね。やはり、普段から対戦していないと難しいですから。その人に「どんな攻め方されたら嫌?」など聞けるというメリットもあります。なので、「10人いたら一人は上段に転向させる」など、監督は考えておく必要があると思います。

 

いや〜しかし長かった・・・もう寝ます