読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

剣道におけるバルクアップとダイエット戦略

私は常々、剣道家は筋トレをすべきだと述べているのだが、ただ筋肉とともに脂肪も増やし動きを重くすることはおすすめしない。大きい筋肉を持ち脂肪が少なく、パワフルでスピードのある肉体を目指すべきだ。今回の記事は、「剣道の稽古プラス筋トレも行っている」ことを前提に述べていく。

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筋トレ計画の一例 - 読むだけで強くなれる剣道ブログ

 

ではどうするか?

肉体づくりに関してはその道のプロ、ボディビルやフィジーク選手のやり方が大いに参考になると思う。

まず、年間を通して「増量期」と「減量期」に分ける。彼らの場合、もちろんコンテスト当日が「減量期」の終わりにあたるわけだ。

「増量期」というのは筋肉を増やすとともに脂肪も付いてしまう。筋肉だけを増やすことはできない。肉体づくりのプロがそうなのだから間違いない。対して、「減量期」というのは筋肉を維持しながら脂肪を落としていく期間である。これも都合良くはできておらず、筋肉を全く落とさず脂肪だけを落とすことはできないので、食事をしっかり管理しながらダイエットを行う(後述する)。もちろん、筋肉を増やしながら脂肪を落とすことなんてできるはずがない。(ガリガリの運動経験が全く無い人にはこういうことも稀にあるらしいが)

ではその「増量期」「減量期」をどう分けるか?

例えとして、大学生を例に取りたい。

彼らの場合、個人戦のある5月には減量期を終わらせておくべきだと思う。3〜4月の2ヶ月、あるいは脂肪がそこまで増えていない場合は4月の一ヶ月を減量期とする。試合のある5〜10月は大きく体重を変動させないよう努める(それでも若いうちは筋肉は大きく成長するのである程度体重は重くなる)。ウェイトトレーニングは週一でも十分。体重の変動が少ないことによって、動きの感覚も保ちやすいだろう。

 

もちろん、試合に出ていないのであれば、この期間もある程度増量しながら体を作っていったほうがよい。ただ、オンシーズンは部内の試合等でも評価を受けることになると思うので、極端な増量はおすすめしない。

そして、11月〜2月の4ヶ月はガッツリと増量期だ。この期間はトレーニングの頻度を増やし、しっかりカロリー摂取する(消費カロリー<摂取カロリー、とする)。大学生のうちは、4ヶ月でもしっかりスケジューリングして食事もしっかり摂れば見違えるように体は変わる。

ちなみに、高校生までの剣士はデブでない限り「ずっと増量期」の方が良い。彼らの場合、筋肉が付くスピードが更に速い。その恩恵は多少の脂肪を減らして動きにキレを出すことよりも大きいからだ(だから、中高生こそ筋トレをした方がよい)。

では、「増量期」「減量期」に自分の体をどうコントロールしていくかについて説明する。

もちろん、それは「食事」である。他には何もない。これだけだ。ランニングなどの有酸素運動も稽古外での疲労を溜めるだけなので、やめたほうがよいと思う。

 

★増量期

「増量期」に関しては「消費カロリー<摂取カロリー」にしなければならない。ところが、「消費カロリー」の計算はなかなか難しい。「基礎代謝+運動カロリー≒消費カロリー」となるのだが、運動カロリーというものは「ただ立っているだけ」「歩いているだけ」「家事」などでも加算されるので、割り出すのは難解なのだ。

なので、まずは自分が「痩せもせず太りもしない」食事(多くの人にとって、今現在の食事)のカロリーを割り出そう。できれば「PFCバランス」も(後述)。つまり、「一日〇〇カロリー摂取したら、体重は増えもせず減りもしない」というのを明確にしておくのだ。今の時代、ネットやスマホのアプリでも簡単にカロリー計算できるので、最低一週間ほどメモを取ってみるべきだ。すべて自炊にすれば、計算は楽になるだろう(食事を管理するのであれば、結局自炊に落ち着く)。これは非常にめんどくさいことのようだが、「どの食材にどれだけのカロリーがあるのか」「調理法でどれだけ変わるのか」など、アスリートにとって今後必要な知識を身につけるのに役立つだろう。また、本当に「痩せもせず太りもしていない」のか確認するために、朝一のトイレ後(体内水分量が一定になりやすいので)、毎日体重を測ってみよう。

「増量期」はその食事に少しだけカロリーを加えてやれば良い。おすすめは、

プロテインをすでに摂取している人→白米などの炭水化物を少しだけ増やす(一食あたりプラス茶碗半分など)

プロテインを摂取していない人→一日二回のプロテイン摂取(太りにくい体質の人は同時にバナナやおにぎりなどの糖質も摂取する)

このように、少しだけオーバーカロリーになるような食事を目指すべきだ。月に1キロ体重が増えれば十分。あまりにもバカ食いして太り過ぎたら、減量期の絞り幅が大きくなってしまい、大変で、時間もかかることになる。もちろん、減量期の絞り幅の大きさはその時に失われる筋量と比例するので、その意味でもデメリットが大きい。

※「食事の回数が一日5回以上」がアスリートとして理想的な食事。ただ、社会人や学生にそれは難しいので、プロテインで代用するのが現実的だろう。本来は職場や学校にお弁当を3つ持っていくべきなのだ。もちろん、タンパク質は体重kg✕2g以上摂取するのは増量期・減量期問わず鉄則だ。

 

★減量期

次に「減量期」。巷ではいろんなダイエットが流行っていて、特に「糖質制限」はここ数年のブームと言えるだろう。だが、個人的には極端な糖質制限は全くおすすめしない。特に剣道家ともなれば、消費カロリーも人一倍大きくなるし、エネルギー源である糖質を制限しすぎるのは稽古にも支障をきたすからだ。

ではどうするか?

王道である「カロリー」を制限するのみだ。しかし、カロリーの根源であるタンパク質、脂質、炭水化物のうち、筋肉のもとになるタンパク質は減らせない。炭水化物もエネルギー源になるのである程度は必要だ。となると、、、、脂質はしっかり減らす必要がある。

そして、知っておくべき知識について。3大栄養素、タンパク質protein・脂質fat・炭水化物carbohydrateのバランスのことを「PFCバランス」と言う。ボディビル界ではこの比率を「2:1:2」にするのが減量時のベーシックとされている。筋肉をしっかり残して脂肪を確実に落とすことが生命線の彼らが言うから間違いないだろう。

もちろんこの場合、最も重要なタンパク質を第一に計算する。例えば体重70kgの人の場合、体重kg✕3gのタンパク質が目安になるので、PFCは「210:105:210」となるわけである。当然、痩せやすい・痩せにくいという個人差はあるので、痩せにくい人は脂質と炭水化物の比率を下げれば良い。

PFCそれぞれ1gのカロリーは、タンパク質→4kcal、脂質1g→9kcal、炭水化物1g→4kcalである。なので、70kgの人の場合で計算したら2625kcalを一日で摂取することになる。ちなみに彼の基礎代謝(何も活動せず寝ている状態で一日あたりに消費するカロリー。計算で出せるので自分の基礎代謝も把握しておこう)が1600kcalだとしたら、仕事や学校生活を送りつつ剣道の稽古や筋トレも行う剣道家の消費カロリーはその2倍くらいになると思う。つまり、3200kcalほどは消費しているはずだ。なので、3200に対して2625kcalを毎日摂取するわけだから、「2:1:2法」は計算上の裏付けもあるわけである。

では、上で例に出した70kgの人の場合の減量食がどんなものか紹介したい。

◉朝食 トースト2枚 目玉焼き3つ ソーセージ

    PFC→40g:40g:60g

◉間食 プロテイン

    PFC→30g:0g:0g ※厳密に言えばFCは0ではないがこれぐらいは気にしない

◉昼食 白米200g 皮付き鶏胸肉のグリル200g サラダ+ドレッシング

    PFC→50g:20g:75g

◉稽古中・後 薄めたスポーツドリンク プロテイン バナナ

       PFC→30g:0g:30g

◉夕食 ビール500ml 鯖の塩焼き 納豆たまご 白米100g 野菜

    PFC→35g:30g:55g

◉就寝前 プロテイン

     PFC→30g:0g:0g

合計PFC→215g:90g:215g

    (ほぼ2:1:2)

 

こんな感じである。「結構食べれる!」と思われた方が多いのではないだろうか。ビールももちろん飲める。「もっと食べたい」という方は野菜の量を増やしたらよいだろう。大量に。満腹感を増やす、というのが野菜の最も強い効用だと私は思う。

あと、もしかしたらこれが減量期に最も重要なことなのかもしれないが、「〇〇kg落とす」というのを目標やゴールにしないことだ。また、「見た目」も目標にしないこと。それを目標にすると短期の結果に一喜一憂するハメになる。体は食事に慣れてくるので、減量が停滞することもある。目標は「一ヶ月やる」「二ヶ月やる」という「期限」だ。これが何より重要。万が一、しっかりやって失敗したら来年、FとCの比率を下げればよいだけの話なのだ。なので、やっているときは結末が何キロダウンになるのか分からない。それでよいのだ。「2ヶ月後は何キロ減ってるんだろう」とワクワクしながら自分で決めた計画を着実に実行していく。こんなに充実感のあることはないと思う。

実はと言うと、私自身が試して記事を書こうと思い、この減量を今年の5月〜6月、2ヶ月間行った。辛さは全く感じなかった。私の場合、開始前でもそこまで体脂肪は付いていなかったのだが、大体3kg痩せた。筋トレの使用重量も全く変わらなかったので、筋肉もほぼ減っていないと思われる。もし、腹筋が全く割れていない方がこのダイエットをしたら、2ヶ月で5kgは痩せると個人的には思う。

※当たり前であるが、女性のダイエットもこれと同じことをすれば良い。女性向けの雑誌や変な〇〇ダイエットよりこちらが王道であり、確実に成功するダイエットである。メリハリボディーを作る(=筋肉を残しながら脂肪を減らす)のもやはりこの方法である。というより、「フィットネスビキニ」のような美しい体の頂点を極めるコンテストに出ている選手もこれと同じことをやっているのに、女性はなぜ真似をしないのか分からない。

 

これが私の提案する剣道における体作りの方法だ。剣道家もアスリートなのだ。他のスポーツ選手は自分の体を一生懸命ケアしているのに、剣道という世界は30年ぐらい遅れているようだ。デカい筋肉を持たなければ勝てない、腹が出てては勝てない、そんな時代がいずれ来るだろう。読者の方々にはぜひ、ひと足早くその時代に進んでいただきたいと思う。