読むだけで強くなれる剣道ブログ

大学まで全国区だった元剣士が剣道を理論的に分析するブログ。剣道の上達法、使える技をご紹介

”裏”の面を狙え!〜中央大学VS筑波大学より〜

前にも述べたことがあるが、私は中大ファンである。

先日の全日本学生団体ではその中大が優勝を飾った。近年、そのディフェンス力と憎いまでの試合巧者ぶりが影を潜めていた中大ではあるが、今年は梅ヶ谷という飛び抜けた存在が卒業し、チームとしての戦い方を練りに練ったのだと思う。決勝の、手堅く7人が確実にバトンリレーするような戦いぶりは感動に値する。皆さんも「団体戦の戦い方=取られずに取る」という姿勢を終始徹底しているこの試合に学ぶことは多いと思う。↓

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さて、今回はこの決勝戦から、8:28〜の清家選手の面を分析したい。

 

まずは通常スピードでこの打突を見てほしい。速すぎてどうやって打っているのか分からないかもしれない。また、なぜここまでハンマーを上から叩きつけるような勢いの一本になったのか、という理由も。

続いて、0.25倍速で見てほしい。少しずつそのカラクリが解けてくると思う。

静止画で見ていきたい。

 

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鍔迫り合いから、「別れましょう」。

 

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一足一刀の間合いまで離れる。

 

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ここから清家選手、急に”表”を制すように間合いを詰める。

 

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相手はその”表”の竹刀をいなすように抑えにかかるのだが・・・清家選手、その瞬間にはすでに”裏”に軌道を返している。ここまで見たら次、どうなるかお分かりだろう。

 

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ガラ空きの”裏”に面を浴びせる。

 

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完璧な一本となる。

 

打ち方を整理したい。

1 表を制しながら一歩詰める

2 竹刀を裏に返しながら、

3 裏面を打つ

という流れだ。重要なのは2〜3の動作を一挙動で行うこと。足元は面に飛びつつ手元は竹刀を裏に返しながら打つ、という動作をワンテンポで行わなければならない(この動画の清家選手のように!)。確実に”裏”へと軌道をまわすために、打突の振りかぶりは大きめでも良いだろう。まずはいつも稽古で行っている”切り返し”の裏面の打ち方を意識してやってみて、スムーズに打てるようになったら、振りを抑えてシャープさを求めていくのが良いと思う。

 

この技の派生版として、「突き・裏面」というものもある。

1 表から諸手突き

2 竹刀を裏に返しながら、

3 裏面を打つ

先の動画の技と少し違う点は、表から諸手突きを見せるときに足元もドンッと踏み込むところ。2〜3の流れは同じだ。もちろんこの諸手突きはフェイントで、相手は表からその突きを抑えにくる。その瞬間、裏へ軌道を返し、ガラ空きの裏面をぶち込むわけである。

 

もう一つの派生版、「面(表)・面(裏)」

もう詳細は書かなくても理屈はお分かりいただけるだろう・・・。

 

そして当然であるが、これらの技を放つにあたってはその前段階が最も重要だ。まずは飛び込み面なり諸手突きなりで”表”にしっかりプレッシャーをかけられているかどうか。そして、対戦相手の「よけ方」の癖をしっかり見抜いているかどうか、という点である。

つまり、強烈な諸手突きや飛び込み面を持ち技として持っておいて、対戦相手が竹刀を抑えながら捌くようなタイプの場合、これらの技は素晴らしく有効な技となるわけだ。

ちなみに、同じように”裏”を狙う技として「小手」や「裏への突き」という選択肢もあるが、技の確実性としては今回紹介した技が最も高いと思う。突きは外す確率も高く、小手はちょっとしたタイミングや軌道の違いで防がれることが多い。今回の技は相手の剣先を「外す」ことができたらその時点でほぼ一本だ。空振りすることもほぼ無く、フェイントで間合いを詰めるため加速をつけて爆発的に打つことができるからだ。極めて脅威な技だと言える。

私個人としては諸手突きが得意なこともあり、二番目に紹介した「突き・面」を選択することが多かった。特に中心の固い相手には諸手突きから表を崩していき、試合後半に「突き・面」で裏を狙う、という試合運びをよくしていた。シンプルながらこの試合の組み立てはかなり有効だと思う。

「上下表裏」を崩すことが剣道における試合の基本であり、今回の技はその理屈を忠実に表したような技だ。確信を持っておすすめするので是非ものにしてほしい。

 

 

しかしながら、長年剣道を離れると剣道界のおかしい部分もたくさん見えてきますが、いい面も見えてきます。この前の世界大会もそうですが、特に団体戦を観ると剣道ってやはりいいものだなと思いますね。”自分も何か物事に必死に打ち込まねば”。そう思わせてくれます。とにかく、今回は中大の皆様、おめでとうございます!